この記事は2024年2月に訪れた際の旅行記です。
アンコール遺跡群を巡るなら、トゥクトゥクをチャーターするのが定番のスタイル。
風を感じながら遺跡を巡るのも魅力的ですが、今回はちょっと趣向を変えて、自転車で自分のペースで回る旅に挑戦しました。
朝の涼しい空気を感じながら出発し、遺跡と遺跡の間もじっくりと風景を楽しめるのが、自転車旅の醍醐味。
観光だけでなく、現地の空気そのものを味わえる特別な時間でした。
今回は実際に私が走ったルートや遺跡の見どころ、自転車のレンタル方法までまるっとご紹介します。
「体力に自信はないけど、ゆっくり自転車で回ってみたい…」という方の参考になれば嬉しいです。
モデルルート&所要時間
項目 | 内容 |
---|---|
出発地 | シェムリアップ市内 |
自転車距離 | 約25〜30km |
所要時間 | 朝9時半出発 → 夕方18時半ごろ帰着 |
巡った遺跡 | チケットオフィス→アンコールワット → アンコールトム(バイヨン・象のテラス)→ タ・プローム → プノンバケン |
自転車のレンタル
自転車を借りたのは市内中心部にあるLy Chhing Motorbike Rental Shop。
マウンテンバイクは苦手だったので、普通のシティサイクルをお願いしました。
本来は4ドルのところを、値引きしていただき、3ドルでレンタルしました。
同行者はマウンテンバイクを選んだので、移動中はややペースを合わせるのが大変でしたが、
私の自転車も乗り心地は良好で、シェムリアップの道は比較的フラットなので大きな問題はありませんでした。
チケットの購入
アンコール遺跡群を見学するには、共通入場券「アンコールパス」が必要です。
各遺跡でのチケット販売は一切なく、唯一の販売所が「Angkor Enterprise(通称:チケットオフィス)」です。
シェムリアップ市内中心部から東へ約4kmほど。
自転車でもアクセス可能で、道も整備されているので迷いにくいです。
チケットの種類と料金
種類 | 有効期間 | 料金(USD) |
---|---|---|
1日券 | 購入日当日のみ | $37 |
3日券 | 購入日から10日間内の任意の3日 | $62 |
7日券 | 購入日から1か月間内の任意の7日 | $72 |
※チケット購入時には顔写真の撮影があり、チケットに印刷されます。
身分証などは特に不要ですが、係員の指示に従いましょう。
注意点とアドバイス
- 早朝5:00からオープンしているので、朝日鑑賞に合わせて早めの購入も可能です
- 翌日以降の入場券を事前購入することも可能(窓口で申告が必要)
- チケットオフィスからアンコールワットまでは約5km。やや距離があるので、最初の訪問地に向かう前に立ち寄りましょう
訪れた遺跡
アンコール・ワット

旅のスタートはやはりここ、世界遺産「アンコール・ワット」。
アンコール・ワットは、アンコール遺跡群の中でも最も有名で、また最も保存状態の良い寺院です。
12世紀、アンコール王朝のスールヤヴァルマン2世によってヒンドゥー教のヴィシュヌ神に捧げる寺院として建立されました。
特徴は、東南アジア最大の宗教建築でありながら、他のヒンドゥー寺院と異なり西向きで建てられていること。
これは死後の世界を象徴する西を意識したとも言われています。
回廊に彫られた精緻なレリーフは圧巻で、ヒンドゥー神話「マハーバーラタ」や「乳海攪拌」の場面が刻まれています。
この神話の彫刻の迫力は写真では伝えきれず、ぜひ実際に目で見てほしいところです。
11時ごろからツアー客が増えてくるので、早めの時間に訪れるのがおすすめです。
アンコール・トム(バイヨン・象のテラス)
アンコール・ワットから自転車で約15分。
巨大な城門をくぐってたどり着いたのは、かつての王都「アンコール・トム」です。
建設したのはジャヤヴァルマン7世(在位:1181〜1218年)。
彼は仏教を篤く信仰しており、アンコールトムは大乗仏教の理想を体現した都市と言われています。
アンコール・トム周辺にはお猿さんが大量にいます。
私は持っていたお菓子や飲み物のひったくりにあったのでこのエリアに入る前に食べ物は目のつかない場所にしまう等、対策をしておくことをお勧めします。
▶ バイヨン寺院

アンコールトムの中心にある寺院で、最大の見どころはなんといっても四面仏塔。
仏陀の顔が刻まれた塔が50以上もそびえ立ち、あらゆる方向から穏やかな微笑みを投げかけてきます。
この表情は「クメールの微笑み」とも呼ばれ、訪れる人々に静かな感動を与えてくれます。
▶ 象のテラス

王が閲兵や儀式を行ったとされる広場の一角にあり、テラスの壁面には躍動感ある象のレリーフがずらりと並びます。
大規模な空間に立つと、当時の王権の威厳や儀礼の様子が目に浮かぶようです。
タ・プローム

「タ・プローム」は、まさに“自然と文明の融合”を象徴する場所です。
こちらもジャヤヴァルマン7世の時代に建立されたもので、当時は仏教僧や僧侶の修行の場でした。
現在はガジュマルやスポアンの木が遺跡の上に根を張り巡らす姿が特徴で、「遺跡が森に飲み込まれていく」ような景観が広がります。
崩れかけた建物と巨大な根が絡み合う風景は、人工物と自然の時間の流れが交差するようで、訪れる人の心に強く残ります。
映画『トゥームレイダー』のロケ地にもなったことで、世界的にも有名になりました。
プノン・バケン

最後に訪れたのは「プノン・バケン」。
9世紀末に建てられたアンコール最初期のヒンドゥー寺院で、当時の王ヤショーヴァルマン1世の命によるものです。
「プノン」とはクメール語で「丘」を意味し、ここは自然の丘を活かして建てられた寺院遺跡。
高さ約60mの頂上からは、アンコールワットやジャングルの緑が一望でき、夕日鑑賞スポットとして人気があります。
遺跡に入れるのは300人限定とのことですが、16時半ごろに行った際には問題なく入場できました。
丘の上までは徒歩で約15〜20分の登山が必要ですが、その価値は十分にあります。
太陽がゆっくりと地平線に沈んでいく様子は、1日の終わりを穏やかに締めくくってくれました。
持ち物リスト
- 帽子 or サンバイザー(直射日光が強いため)
- サングラス(眩しさ&砂ぼこり対策)
- 日焼け止め(乾季はかなり焼けます!)
- 水(遺跡巡り中にも購入できます)
- 現地通貨(売店や屋台での支払いに)
- 虫除けスプレー(タ・プローム周辺など)
- モバイルバッテリー(写真・地図用に)
- 絆創膏・軽い救急セット(転倒・靴ずれ用)
- カメラ or スマホ(遺跡撮影に必須!)
まとめ
1日かけて巡ったアンコール遺跡群。
自転車だからこそ、自分のペースで立ち止まり、風を感じ、音を聞くことができました。
遺跡ごとに異なる宗教背景や建築スタイルを感じながら、「この石に触れた人々は何を思っていたのだろう?」と、時代を超えた想像の旅も楽しめます。
体力的にはややハードですが、間違いなく心に残る旅になるはずです。