この記事は2024年2月に訪れた際の旅行記です。
チェンマイとは
チェンマイは、タイ北部に位置する緑豊かな古都で、かつて「ランナー王国」の首都として栄えた歴史ある都市です。
バンコクのような近代的な大都会とは一線を画し、落ち着いた雰囲気と自然との調和が魅力。
町には古い寺院が点在し、スローペースな暮らしが息づいています。
一方で、カフェ文化やアートシーンも盛んで、若者や欧米からのノマドワーカーにも愛されるトレンド発信地としての顔も持っています。
市街地のすぐ近くには山々が広がり、寺院巡りやマーケット散策の合間に、自然体験や動物とのふれあいも楽しめるなど、旅の幅が非常に広いのがチェンマイの特徴です。
アクセス
バンコクからチェンマイへ
バンコクからチェンマイへは、交通手段によって所要時間や体験の質が大きく異なります。
- 飛行機:所要時間は約1時間15分で、最も速く快適な移動手段です。エアアジア、ノックエア、タイ・ライオン・エアなどのLCCを使えば、運賃は片道1,000〜2,000円前後とリーズナブル。
- 鉄道(寝台列車):移動時間は約12〜14時間。夜発朝着の便が多く、旅情を感じながらのんびりと移動したい人におすすめ。シートはエアコン付きの2等寝台が人気です。
- 長距離バス:所要時間は約9〜10時間。VIPバスはリクライニングが深く、車内も快適。深夜便を使えば時間を有効活用できます。
私は寝台列車を利用し、バンコクからチェンマイへと移動しました。
バンコクのドムアン空港は駅と連結しており、SRT Red Lineの案内をたどると行くことができます。
寝台列車に乗車する場合は、出発時間の20分ほど前に着くと良いと思います。
HPから早めの予約がおすすめです。
チェンマイ空港から市内中心部へのアクセス
チェンマイ国際空港(CNX)は市街地から非常に近く、車で約15〜20分ほどでアクセス可能です。
以下のような手段があります。
- 空港タクシー:ターミナルにある公式カウンターで手配でき、料金は定額制で150~200バーツ程度。
- Grab(配車アプリ):タイでは非常に普及しており、明朗会計で安心。空港から市内まで150~200バーツ前後が目安。
- ソンテウ(赤い乗り合いトラック):市民の足として利用されるローカルな交通手段。複数人で乗り合うことで格安(30〜150バーツ)ですが、目的地によっては時間がかかることもあります。
市内の移動手段
- ソンテウ(赤・白・青など):市内を循環している乗り合いトラックで、簡単に乗ることができます。乗車前に行き先を伝えて料金交渉しましょう。
- トゥクトゥク:観光客向けの三輪タクシー。距離に応じて料金を交渉制で決めます。雰囲気を楽しむにはぴったりですが、料金は割高になることも。
- Grab(配車アプリ):明朗会計で安心です。車だけでなく、タクシーもあるので、渋滞時にも便利です。
- レンタルバイク:1日200バーツ前後で借りられ、行動範囲が広がりますが、運転には国際免許と慎重な運転が必要。
- 徒歩・自転車:旧市街の中は歩いて回れるサイズなので、徒歩やレンタサイクルもおすすめです。
両替について
タイでは両替のレートが良い店も多く、ATMでのキャッシング等よりもお得です。
日本国内や空港で少量の現金を準備し、残りは日本円を市内で両替するのがおすすめです。
クレジットカードを利用できるお店も多いですが、最低利用限度額が決められているお店も多いので注意が必要です。
見どころ
ワット・プラ・タート・ドイ・ステープ(Wat Phra That Doi Suthep)

ワット・プラ・タート・ドイ・ステープは、チェンマイの象徴とも言える寺院。
市内から車で30分ほど、標高1,000mの山の上に建つ仏教寺院で、金色の仏塔が美しく輝きます。
長い階段(約300段)を登ると市街を一望できる絶景が広がります。
現地では参拝の作法や鐘を鳴らす体験もでき、神聖な空気に包まれた空間です。
旧市街からソンテウで片道80バーツで、入場料は30バーツでした。
旧市街の寺院めぐり

城壁と堀に囲まれた旧市街には、歴史的価値の高い寺院が点在しています。
徒歩や自転車でも回れる距離感なので、のんびりと散策がおすすめです。
- ワット・チェディ・ルアン:巨大な仏塔の遺跡が残る、迫力満点の寺院。夜間ライトアップも幻想的です。
- ワット・プラシン:格式高い寺院で、美しい本堂や仏像が見どころ。
- ワット・パンタオ:木造建築の本堂が印象的な静かな寺院。仏教行事の時期にはロウソクの灯りで彩られます。
ニマンヘミン通り(Nimmanhaemin Road)
ニマンヘミン通りはチェンマイのトレンドスポットです。
アートギャラリー、ハイセンスなカフェ、ブティック、インテリアショップが並ぶおしゃれエリア。
Wi-Fi環境が整ったカフェが多く、ノマドワーカーにも人気です。
象乗り体験

タイといえば「象」が思い浮かぶ方も多いはず。チェンマイ周辺には象とふれあえるエレファントキャンプが点在しています。
以前は観光用に象に乗る体験が主流でしたが、近年は動物福祉に配慮した“ノーライド”キャンプが主流になりつつあります。
例えば「エレファントネイチャーパーク」や「エレファントサンクチュアリ」などでは、象の餌やり・泥んこ風呂・川遊びなどを通して、象とより自然な形でふれあうことができます。
動物との共存を学ぶ貴重な体験として、特にファミリーや動物好きにおすすめです。
私は、「タイ エレファント ホーム(Thai Elephant Home)」で1日コースに参加してきました。
送迎付き・ランチ込みで料金は4,900バーツ。
少し高めに感じるかもしれませんが、その価値は十分にありました。
参加者1人につき1頭の象がつき、餌やり、水浴び、森の中での散歩、泥遊びなどを通して、象との距離がぐっと縮まります。
ここの特徴は、象の背中に乗れる数少ないキャンプであるという点です。
象乗りには賛否ありますが、現地スタッフの話では「大きな象に1人が乗るのは、人間の肩に猫が乗っているようなもの」と説明されました。
象の健康状態や負担に配慮して運営されており、象たちも穏やかでリラックスしている様子でした。
予約は公式サイト・メール・WhatsAppなどで可能です。
ただし、返信が遅れたり途切れたりすることもあるので、根気よく連絡を取り続けるのがポイントです。
当日はスムーズに対応してくれ、日本語を話せるスタッフも何人かいたので安心感がありました。
ランチもおいしく、スタッフがたくさん写真を撮ってくれるサービスも嬉しかったです。
タイガーキングダム

「タイガーキングダム・チェンマイ」は、実際に育てられたトラと間近でふれあえる施設です。
小さなトラから大きな成獣まで様々なサイズがおり、トレーナーの立ち合いのもとで写真撮影やふれあいができます。
安全には配慮されていますが、訪れる前には倫理面やトラの飼育環境について自分で調べた上で判断することも大切です。
写真撮影の料金はBig Tigerは550バーツでした。
また、1人で訪れたため、399バーツの写真サービスも依頼しました。
チェンマイ旧市街からはGrabのバイクで片道700円ほどで、ソンテウも駐車場で見かけました。
POOPOOPAPER

名前のインパクトもユニークなこちらの施設では、なんと象のフンから紙を作る工程を体験できます。
環境教育を意識したサステナブルな観光施設で、実際に紙を漉いてみたり、手作り雑貨を作成するワークショップもあります。
大人も子どもも楽しめるアクティビティとして人気があり、自然やリサイクルに興味のある方にぴったりです。
施設にはかわいらしいショップやカフェも併設されています。
首長族の村

タイ北部の山岳地帯には、ミャンマー国境付近から移住してきた「首長族(カレン族・パダウン族)」が暮らす村がいくつかあります。
女性たちは真鍮のリングを首に巻き、長く伸ばしているのが特徴です。
チェンマイ郊外の観光村では、手工芸品の販売や生活様式の見学ができ、文化に触れる貴重な体験が可能です。
入村料は500バーツで、タイガーキングダムからは歩いていくこともできます。
ローカル市場

チェンマイでは観光地巡りだけでなく、ローカルな市場を訪れることで、地元の生活を垣間見ることができます。
いくつかの市場をピックアップしてご紹介します。
市場ではショッピングやストリートフードを楽しめるだけでなく、マッサージも人気です。
- チェンマイナイトバザール
夜になると通りに無数の屋台が立ち並び、衣料品や雑貨、ストリートフードが楽しめます。観光客で賑わうエリアですが、価格交渉次第で掘り出し物が見つかることも。 - サンデーナイトマーケット(サンデーマーケット)
旧市街エリアにて、毎週日曜日に開催される大規模な歩行者天国。手作りの雑貨やアクセサリー、アート作品、地元フードなど、バリエーション豊かで観光客にも大人気です。 - タニン市場(Thanin Market)
地元民に愛される生活密着型のマーケット。観光客は少なめで、よりリアルなチェンマイの姿を垣間見ることができます。新鮮な果物や食材、出来立てのお惣菜が並び、朝ごはんを探すのにもぴったりの場所です。 - ワロロット市場&トンラムヤイ市場
市内中心部に位置する伝統的市場。食品、衣料品、花、仏教用の供え物などが並ぶ巨大な複合マーケットで、地元の人々で賑わいます。活気ある雰囲気に包まれながら、日常のタイ文化を体感できます。
瞑想体験(メディテーション)
チェンマイでは、モスク巡りのように宗教文化に触れる体験として、仏教寺院での瞑想体験が挙げられます。
ワット・スアン・ドークやワット・ウモーンなどでは、外国人向けの瞑想プログラムが提供されています。
1日体験から1週間程度のリトリートまであり、英語で指導してもらえる施設もあります。
静かな寺院で呼吸を整え、心を鎮める時間は、観光とはまた違った価値を与えてくれます。
托鉢見学
早朝5〜6時ごろには、僧侶たちが町を歩いて托鉢を行う光景が見られます。
地元の人々が食べ物を差し出す様子は、信仰と生活が密接に結びついていることを実感させてくれます。
見学の際は静かにマナーを守って見届けましょう。
おすすめグルメ
チェンマイでは、北部タイ料理をはじめ、地元に根付いたストリートフードや屋台料理も豊富に楽しめます。
おしゃれなレストランからローカル市場まで、グルメ好きにはたまらない街です。
ここではチェンマイでぜひ味わいたい、おすすめの名店・料理をご紹介します。
イジャップナムコン サームカサット(Ijap Namkhon Samkasat)|絶品クリスピーポークに出会える店

地元民に愛される隠れた名店が「イジャップナムコン サームカサット」。
名物はなんといっても、カリカリに揚げられたクリスピーポーク(ムーグローブ)。
表面はサクサク、中はジューシーという理想的な食感で、にんにくの効いたタレや唐辛子のソースと一緒に食べると、箸が止まらなくなります。
また、モツ入りうどんのようなクワイジャップも人気料理です。
ローカル感たっぷりの雰囲気ですが、味は折り紙付き。
中心部からやや離れた場所にありますが、Grabタクシーで気軽にアクセス可能です。
観光客向けというより、地元の味を体験したい人にぴったりな一軒です。
ジョーク・ソムペット(Jok Sompet)|朝食にもおすすめのお粥専門店

チェンマイで朝ごはんを楽しむなら、地元民にも大人気の「ジョーク・ソムペット」へ。
こちらは「ジョーク(Jok)」と呼ばれるタイ風お粥の専門店で、豚ミンチや半熟卵、揚げパンなどをトッピングしていただきます。
米の粒がとろけるまで煮込まれており、優しい味わいは朝の胃にもやさしく染みわたります。
24時間営業しているので、早朝の観光前や夜食にも使える便利なお店です。
シェフ・ノン(Chef Non)|ローカル食材を活かしたモダン・タイ料理

「シェフ・ノン」は、ローカルの新鮮な食材を使いながら、洗練された味と盛り付けで提供してくれるモダン・タイ料理レストラン。
観光客にも人気が高まりつつある一方で、まだそこまで混み合っていないのが魅力です。
おすすめは、タイ北部の伝統料理にアレンジを加えた「カオソーイ」や、ハーブをふんだんに使った炒め物。
味もプレゼンテーションも一級品ながら、価格は良心的で、カジュアルながら特別感のある食事を楽しみたいときに最適です。
市場やナイトマーケットでの食事|ストリートフード天国
チェンマイに来たら、ぜひ試してほしいのが市場やナイトマーケットでの食べ歩き。
地元の空気を肌で感じながら、お財布にも優しいグルメ体験ができます。
サタデー・サンデーナイトマーケット
週末限定の歩行者天国エリア。チェンマイ特産のハーブソーセージや、北タイ風カレー「ゲーンハンレー」、ココナッツミルクのスイーツ「カノムクロック」など、選びきれないほどの屋台が連なります。
チェンマイナイトバザール
観光客で賑わう大規模マーケットで、パッタイ、グリルチキン、フルーツスムージーなど種類豊富。リーズナブルでその場で調理してくれる屋台が多く、旅の夕食にもぴったり。
タニン市場
朝から開いているローカル市場。お惣菜コーナーでは、炒め物やカレー、もち米と一緒に食べるラープ(スパイシーなひき肉サラダ)などが並び、持ち帰って宿で食べるのもおすすめです。
宿泊した宿

チェンマイではSuneta Hostel Chiang Maiに宿泊しました。
小さな個室で、共有バス、朝食もついて4泊1,915バーツでした。
立地もよく、旧市街へは歩いて観光もできます。
かかった費用
- 寝台列車
- バンコク→チェンマイ 763バーツ
- チェンマイ→バンコク(昼) 558バーツ
- 宿泊費 1,972.45バーツ
- Grab
- 駅→ホテル 85バーツ
- ホテル→タイガーキングダム 169バーツ
- タイガーキングダム→ホテル 158バーツ
- 大学→シェフ・ノン 46バーツ
- シェフ・ノン→ワット・プラシン 68バーツ
- ソンテウ(市内→ワット・プラ・タート・ドイ・ステープ→大学) 130バーツ
- ワット・プラ・タート・ドイ・ステープ 30バーツ
- ワット・プラシン 40バーツ
- 象乗り体験 4,900バーツ
- タイガーキングダム 949バーツ
- 首長族の村 入村料 500バーツ
- クリスピーポーク 120バーツ
- ジョーク・ソムペット 50バーツ、35バーツ
- シェフ・ノン 65バーツ
- マッサージ 80バーツ、150バーツ
治安について
チェンマイは、バンコクなどの大都市と比べて穏やかで、治安も良好です。
女性の一人旅や初心者の海外旅行にも適していますが、最低限の注意は必要です。
スリ・置き引き
ナイトマーケットや観光地では、バッグは前に持つ、スマホの扱いに気をつけるなど基本的な対策を。
バイク事故
バイクを運転する際は、無理な運転を避け、必ずヘルメットを着用。交通ルールを守ることが大切です。
野良犬・蚊・気候
夜の外出時は犬との接触や蚊に注意。乾季(11月〜2月)は気候も安定しており観光ベストシーズンです。
まとめ
チェンマイは、歴史的な寺院と自然、そして穏やかな人々に囲まれた癒しの町です。
観光地としての見どころも豊富でありながら、どこか生活に根ざしたリアルなタイを感じられる場所でもあります。
忙しい日常を離れて、ゆっくりと心と身体をリセットしたい人にこそ訪れてほしい旅先です。